皐月

鈴蘭の 芽のつんつんと 影法師

卯月

一本の 鉄路花野を 別ちけり

「おしまいの断片」

たとえそれでも、君はやっぱり思うのかな、この人生における望みは果たしたと?果たしたとも。それで、君はいったい何を望んだのだろう?それは、自らを愛されるものと呼ぶこと、自らをこの世界にあって 愛されるものと感じること。レイモンド・カーヴァー 村…

春分

大空に 辛夷まばゆし 呱々の声

弥生

ひな買ひに 二人の祖母や 昼の月 目を張って 雛の如くに 耐ふるかな

長田 弘

まだ失われていないもの何かがちがってくる。風があつまってくる。陽射しがあつまってきて、やわらかな影がそこにあつまる。見えないものがあつまってくる。ふと、騒がしさが遠のいて、そこから、音もなく明るい塵があつまってくる。すべてが、そこにあつま…

立春

野水仙 水辺の影の 踊り子たち水仙に 来る日来る日の 波の音 椿落つ 朝な夕なの 願ひごと逢ひにいく 気おくれ風の 落椿吾が影に 追われる日々の 落椿

如月

凍て解けの 径の奥がに 拗ねて棲む

星野富弘

見ているだけで何も描けず一日が終わったこんな日と大きなことをやりとげた日と同じ価値を見出せる心になりたい 花の詩画集「鈴の鳴る道」より

大寒

寒ざくら 海は風のみ 運びくる 寒の水 打つて灯ともす 小路かな かみしめて 無能の果ての 日向ぼこ死を思ひ 生また思ふ 日向ぼこ 冬蝶が 吾が影に来て 寄りにけり

睦月

落葉松の 山は斑雪に 昏るるなり雪谷を へだて落葉松 山暮るる

新年

冬空を 支えし枝の ますぐなる

つごもり

病む凍夜 ジャムの詩読み 和みけりどの部屋も 時計動きて 冬ごもり

雪催

この世みな 仮の宿りの 雪降れり母恋へば 母降りてくる 雪催ひ

クリスマス

オラトリオ 宙より降り来 聖夜の町 メサイアに 心あづけて 星降る夜

生誕

彼女は体力と気品を身に着けてほほえみながら母の日を待つ 箴言 31:25 幼子は成長し 強くなり 知恵に満ちて行った神の恵みが その上にあったルカ2-40

師走

影さして 庭より客の 冬日和 昨日とは 今日また違う 枯木立裸木と なりて冬木の 力満つ

紅葉

箱根路や 奥嶺は霧ふ 片紅葉秋の風 身のうちに来て 呪文となる 飽きもせず 生くるしぐさの 落葉掃き思ひ捨てし ことも投げ入れ 落葉焚く昨日の思ひ 今日の思ひの 落葉焚く

霜月

オルゴール 鳴らぬ箇所あり 秋の暮れ 湖藍く もみぢは暁けの 色に澄む 空の浪 ただよひながら 銀杏散る ひとひらの 落葉心に 止どめをり 胸に降る 落葉は天に かへりゆく

秋の旅2

秋鳴らす 義仲寺の 猪おどし

秋の旅

螺旋階段 秋の日まろく 蹤いてくる

葬送のブルース

Funeral Blues W.H.オーデン 時計を止めよ 電話も切れ 骨に吠えつく犬を止めよ ピアノもドラムも止めよ 棺を出せ 嘆きの列を通せ 飛行機を飛ばし 追悼文を書かせよ 彼は死んだ ハトの白い首に喪章を巻け 警官は黒い手袋をはめよ 彼は私の東西南北 仕事の毎日…

神無月

サンタマリア 会堂裏の 断腸花

わたしがブログを書く理由

果たして「書く」という言葉が当てはまるかどうかは疑問だが…。 プロフィールでも紹介しているが、殆どは母が撮影した写真に、祖母が詠んだ俳句を添えて載せている。その他は印象に残った詩や散文を気ままに投稿している。 ちょうど2年前に亡くなった母が趣…

お彼岸3

秋立つや 空なる風の 息使ひ

お彼岸2

秋風と ともに寺門を 入りにけり

お彼岸に1

北齋の 波の空色 鰯雲

長月

九月の言葉 堀口大學 九月、明るい夏のをはり。九月、しとやかな秋のはじめ。 九月、楽しい休暇のはて。九月、新しい学期のはじめ。 九月、季節の移り変り。九月、移り変りの季節。 九月、閉された別荘の窓。九月、色褪せた海水着(みづぎ)の縞の目。 九月、…

炎暑

モネ展を 見て炎天の 町に立つ

伯母へ…。

新盆の 闇よりおろす 盆提灯